市内中心部の北1条西1丁目地区で、札幌市主導の再開発工事が進んでいます。
もともとは札幌市と王子不動産、明治安田生命の3者が所有していた土地ですが、再開発計画の
決定までには長い紆余曲折があって、ようやく今年度から再開発事業が着手されました。
札幌市が経営していた大規模駐車場はすでに解体されて更地になり、いま明治安田生命ビルの
解体工事が行われています。
数年後には下記のような立派なビルが完成する予定です。
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(建物完成予想図、札幌市HPより)
28階建ビルには朝日新聞社や北海道テレビなど朝日グループ他各社が入居予定です。
まだ名称は未定ですが、一部では「朝日新聞タワー」と呼ばれているようです。
低層階にはオペラも上演できる、ガラス張りの豪華な市民ホールが併設されます。
「世界の一流の公演も呼べるように」と市長の強いこだわりと聞いています。
なぜ札幌市の再開発事業に、地権者でもない朝日新聞社が入居することになったのか?
税金を投入する事業なのに、入居希望企業は公募で適正に選んだのか?
との根本的問題はさておき、今日取り上げる問題はあまりに膨大な建設費についてです。
当初の事業計画では総工費550億円の見込みでしたが、その後、計画が具体化するに
つれて総工費が大幅に増え、今年2月の段階で722億円に上方修正されています。
「アベノミクスの影響で建設費が高騰している」とかの説明です。
そして今日、市役所から「事業費がついに781億円に達した」との連絡がありました。
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半官半民とはいえ市の再開発ですから当然、国民の負担もそれだけ増えることになります。
今回の追加差額は28億円で、来週からの第4回定例市議会で補正予算が上程されます。
何十億円ものベラボーな税金を気前よく投じて、札幌市も随分景気が良いようです。
新設の市民ホールの隣には、平成20年に完成したばかりの市民ホールがあります(下図)。
片方は観光文化局の所管、もう片方は教育委員会の所管で、それぞれ国の補助金の出先が
違うために、こんなバラバラな箱モノ行政が起きるのです。
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公共工事は不景気なときに行い、景気が良いときは縮小するのが経済学の鉄則です。
いま全国的な好況で建設業を中心に人手不足、資材不足が深刻化しています。
本来であれば、こんな建設費が高い時期にわざわざ借金をして市役所が高層ビルを建てる
べきではないのです。
この十数年間、景気が冷え込んでいて、建設業が喉から手が出るほど仕事がほしい時に、
上田市長はずっと公共投資を絞ってきました。
建設会社は次々と息絶え、いまは閑散期の除雪の引き受け手にも困るほど減少しました。
それなのに今頃になって建設ラッシュとは・・・。
中学校の教科書にもある「景気の調整機能」を札幌市長はご存じないのでしょうか。
こうした問題を引き起こした上田市長は、ついに勇退を決めました。
そして来春の市長選に立候補予定のお二人は、上田市長と正反対の積極投資を訴えて、
地下鉄の延伸などを公約に掲げています。
いまのところ、上田市政を引き継ぐ政策の市長候補は登場していません。
ありがたいことだと思います。
私自身も都市開発には賛成の立場ですが、景気動向を見極めながらもっと早く適切な時期に
投資を進めていれば市民の負担がずっと減ったのではないでしょうか。
地方行政にも経済学的視点が必要だと思います。