6月25〜26日にかけて市議会財政市民委員会で北九州市役所と長崎市役所を訪問しました。
いわゆる「委員会視察」といって、毎年この時期に各常任委員会で他の市町村の先進事例を調査訪問するものです。
先進事例と言っても道内ではなく道外に行くことがほとんどで、経費は公費負担です。
既に決まった訪問先や調査事項に否応無しに参加するだけという主体性が乏しい形で、自分で調べてアポを取ったり予約する手間も不要です。
ラクと言えばラクなのですが、全員揃っての視察はまるで修学旅行の様でいつも違和感を感じています。
(全員の希望を聞いていたら、まとまらないことが理由かもしれませんが)

さて今回の視察のテーマは都市景観行政と区役所窓口の効率化についてです。
ここでは北九州市を訪れて気づいたことを記します。
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北九州市は官営八幡製鉄所で知られるように明治以来ずっと近代日本の産業経済をけん引してきた工業都市ですが、高度成長期のの激しい公害と、その公害を克服してきた経験を
経て「世界の環境首都」をキャッチフレーズとした街づくりに取り組んでいます。
昭和59年には全国に先駆けて都市景観条例を設けて工場や港湾部の建物の色彩に制限を定め、街の灰色のイメージを払拭するように力を注ぎました。
平成19年の景観法制定に併せて新しい景観計画を定め、景観アドバイザー制度の設置や景観重要建造物の保存などの取り組みも進めています。
そのひとつである八幡製鉄所の旧本事務所(1899年竣工、レンガ造りで美しい)について世界遺産に登録を目指しているそうです。
札幌市内の産業遺産の保存のあり方についても参考になりそうです。

次に北九州市役所の窓口ワンストップサービスの取り組みを見学してきました。
札幌市役所では市外から転入してきた方は、まず区役所で住民課の窓口に並んで住民登録の申請書を書いた後、今度は保健福祉課の窓口に並び直して健康保険や年金、介護保険などの手続きを行わなければなりません。
お子さんのいる方はさらに教育委員会など手続きはみなバラバラで時間がかかります。
ところが北九州市はこれらの手続きを一か所の窓口で行っているそうです。
市民にとっては分かりやすく便利です。

札幌でなぜ同じように一か所でできないかというと、「住民課と福祉課では仕事内容が違い個別・専門的な判断を要する市民対応は一緒にできない」といいます。
ここでIT先進都市として知られる北九州市は、窓口で市民対応にあたる職員を支援する情報システムを構築することでこの問題を解決したそうです。
職員は転入、転出、婚姻、離婚など、窓口を訪れた市民それぞれのニーズに合わせて、必要な手続きやマニュアル、申請書をパソコンのボタン一つで引き出すことができます。
これにより職員に高度な専門知識がなくとも窓口業務が行えるほか、対応の誤りや手続き漏れが防げるなどの効果もあるそうです。
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上の写真の事務センターで集中事務処理も行っていて、一部を民間委託するなどコスト削減にも取り組んでいるそうです。
また住民票や印鑑登録証明書の自動発行機も設置するなど、札幌よりもずっと市民への窓口サービスに努めている印象です。
もうひとつ驚いたのが、これに要するシステム開発のコストです。
市役所の基幹システムを更新する際に併せて開発することによって、基幹システムすべて併せても約50億円強で開発を行うことができたそうです。
この金額は札幌市よりも桁がひとつ違います。
札幌市も同じように基幹システムの大規模更新を行っているところですが、天下り法人「札幌総合情報センター」(SNET)に巨額の特命随意契約で発注しています。
随意契約の理由は「経済産業省の産業総合研究所のベンチャー技術移転を受けてAIST包括フレームワークの技術を活用する」とかの理屈で、門外漢にはよく理解できませんが、
とにかく大手IT企業ではなくSNETに仕事を受注させたいようなのです。
その結果、職員は数千時間の残業でヘトヘトになりながら北九州市の何倍もの開発費をかけても未だにシステムが完成していないことを考えると実に対照的だと思いました。
※正式な視察報告は議会事務局が取りまとめて、委員会として後日作成されます。