6日の議会では、子供の学習支援事業を取り上げました。
生活保護受給世帯の中学生だけを集めて、札幌市が個人
指導塾を開設して、放課後の居場所づくりと勉強の場を提供
するという試みです。
平成24年度はテストケースとして西区で実施する計画です。
個人指導塾というのは、ひと教室30人くらいの中学生を集め、
大学生の時給制ボランティア(アルバイト?)が勉強を教える
という内容です。
対象が生活保護世帯の中学生だけというのが良いかどうかは
別として、札幌の子供たちの学力が低さが問題になっている中、
「教育委員会に任せておけない」と市の別の部局が立ち上がった
ことは前向きに評価できます。
ただ、いくつか問題が残っています。
1つは、本当にここで学力増進ができるかという問題です。
委員会で、学力増進のカリキュラムや教材などを尋ねたところ、
 「委託業者のプロポーザル(提案)に委ねている」
との回答で、まったく具体性がありません。
私が、
 「業者任せでなく、企画立案者の市が方向性を打ち出すべき」
と尋ねたのですが、明確な答弁がありません。
2つ目の問題点は、講師の選考や教育体制です。
講師は大学生を集めるということですが、だれでもよいということ
ではないと思います。
先日のニュースで、日本数学会の調査で大学生の24%が「平均」
の意味を理解していない、との驚くべき結果が報道がありました。
ちょうど今日の新聞に道内高校の入試問題が掲載されていたの
ですが、いまの私にはチンプンカンプンな内容です。
つまり、中学生の授業は意外と難しいのです。
プロの先生が学校で丁寧に教えても理解できない内容を、どうして
素人がバイト感覚で教えて学力向上できるといえるのか。
学年も学力もばらばら、毎回講師が違う、何を質問したら良いのか
分からない生徒もいる。
そんななか、指針も教材も研修もなしで学習指導、とは竹槍戦法と
言わざるを得ません。
3つ目の問題点はコストです。
約1000万円の予算で100人の生徒を集める計画ですが、単純計算
ひとりあたり10万円の予算。
札幌市が公設塾を開くまでもなく、市内には民間の学習塾が多数
あって、互いに指導力を磨きあっています。
この一人10万円をクーポンにして、中学生が最寄りの好きな塾に
通えるようにする方が、より効果的ではないでしょうか。
生活保護世帯の子供たちだけが集まられた中途半端な学習教室に
通うより、友達と一緒に塾に通える方がやる気が出るに決まっています。
市の説明によると、いじめを防止するため、教室では本名ではなく、
別名で呼び合う仕組みにするそうです。
そこまでして、生活保護世帯にこだわるべきでしょうか。
これらの問題点に対して、残念ながらいずれにも札幌市の答えがない
ので、「果たしていったい彼らは何のためにこの事業を行うのか?」と
疑問に思っていたのですが、よく聞いてみたところ、うっすらとその答え
が浮かび上がりました。
その理由の一つは本事業には生活保護の国の補助金が出るため、
最初から補助金を目当てにした事業だということ。
もう一つは、この業務を委託する業者が、とある札幌市の出資団体に
決まる見込み、ということです。
その団体は、学習塾などのノウハウは一切ないのです。
こうしてみると、今回の計画は、国からの補助金を札幌市の天下り団体
に流すことが目的だと考えるのは、ちょっと意地悪な見方でしょうか。
しかし、せっかくの試みですから、前向きに考えるほかありません。
大人の事情はともかく、意欲ある大学生ボランティアが集い、そして対象
となる中学生がひとりでもふたりでも、この学び舎でやる気、元気を出して、
未来に向けて大きく羽ばたいてくれることを願うばかりです。