今日は国政の話題です。
民主党政権が退陣してもうすぐ一ヶ月。
公約破って消費税増税を強行した、と悪名高い野田前総理ですが、昨年の
総選挙の直前に、たったひとつだけ大きな仕事を成し遂げました。
それは、70~74歳の窓口医療費負担を現在の1割負担に据え置く特例措置
を廃止し、本来の2割負担へ戻す決断をしたことです。
年々増え続ける高齢者医療費の増加に歯止めを掛けるのが目的です。
この決定を下したのは、わが北海道2区選出の三井辨雄・前厚生労働大臣。
もともとは平成18年に当時の自公政権が2割への引き上げを決めていたの
ですが、翌19年の参議院選挙で敗北した自民・公明両党が高齢者の反発を
恐れてそれ以降、負担引き上げがずっとウヤムヤになっていました。
これに要する国費は年間約2000億円。
その分は現役世代が税と健康保険料値上げの形で負担してきました。
札幌市の国民健康保険では、例えば年収300万円、4人家族のサラリーマンの
保険料は年間約40万円にも達します。
給料の1割以上が保険料で消えていき、「保険料が高くて払えない」という声を
しばしば耳にします。
下記の札幌市の国民健康保険の現状をご覧下さい。
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札幌市保健福祉局ホームページから引用)
こんなに「高い」といわれる保険料を市民から集めても約393億円にしかならず、
(グラフの左上の紫色の部分)
その5倍の2041億円の医療費を市は支出しなければならないのです。
その穴埋めは国や道の補助金、札幌市が支出する拠出金などでまかなわれて
います。
こうしてみると、もはや健康保険制度は持続可能な制度としては破綻していて、
年々増え続ける社会保障費負担に誰かがストップを掛けなければならないことは
政治家のほとんどが分かっていることなのです。
ところが三井前厚生労働大臣が選挙敗北覚悟、いわば命がけで決めたこの
重い決断を、安倍総理はなんと白紙撤回し、来年度も暫定的に1割負担に
据え置く特例措置を継続することを決めたのです。
今夏に参議院選挙を控え、高齢者支持層に配慮したためと言われています。
教育改革案や経済対策をこの1ヶ月間に矢継ぎ早に打ち出してきて、愛国保守派
と言われる安倍総理に私は大きな期待をしているところですが、今回の決定は
いただけません。
高齢者の医療費をまかなうために国の財政はパンク寸前、税と健康保険料で
負担する現役世代は既にアップアップの状態です。
問題先送りのツケは現役世代だけでなく、借金(赤字国債)として子ども
たちの将来世代が負うことになります。
これ以外にも年金問題など世代間の不公平感は募る一方で、「社会保障制度の
抜本的改革が急務」と言われてから何年も経ちます。
「税と社会保障の一体改革」を大義名分に進めた民・自・公の3党談合では
結局、消費税増税しか決まりませんでした。
本来政治家は目先の「票」でなく、未来の国の繁栄と国民の暮らしの安定
のために信念を持って働かなければならないはずです。
「選挙に勝つためには何でもアリ」では民主党と変わりありません。
今回の安倍総理の決断には古い自民党の思考プロセスが見え隠れするようで、
とても残念に思います。
ちなみに報道によると、自民党の厚生労働部会で当初の予定通り2割負担へ
戻すよう主張したのは小泉進次郎代議士ひとりだけだったそうです。
自民党には私も尊敬する若手の立派な政治家が数多くいらっしゃるのですが、
3年の野党暮らしを経験して政党として本当の意味で変わったとは、まだまだ
言えないのが現実なのかもしれません。