3/28議会報告(1)(2)に続きます。
「米国の核性能実験に抗議する決議」が68人中65人の賛成で可決されました。
(決議文はコチラ)米国の核性能実験に抗議する決議(PDF:70KB)
札幌市議会はアメリカが「核性能実験」を実施するたびにかならず全会一致で
抗議決議を送っていて、実は私も過去に何回か賛成したことがあります。
確かに放射能をまき散らす核実験には私も断固反対なのですが、新聞には
「核性能実験」であって、「核実験」とは書いてありません。
いったいどう違うんだろう?
前から疑問を持っていて問題提起したことはあるのですが、「全会一致でないと
困る」との意見が議会内であり、苦渋の選択でいままでは賛成していました。
「全会一致」というのは何も考えなくてよいのでラクなのですが、しかし近年の
近隣諸国の動きを見ていると、ただ反対というのにも不安が残ります。
じっくり調べてみたところ、「これは日本の国防上の問題はない」と判断し、
私は今回からは反対に回りました。
ちなみに北海道新聞は以下のように報じています。


kaku1.png


この記事では「実験を(中略)2回実施したと発表した」と書いてあるのですが、
国家核安全保障局(NNSA)のプレスリリースにはそんな発表は出ていません。
そんなに重要なニュースなら、どこかに出ていそうなものですが、いくら探しても
見つかりません。
いろいろ調べてみたところ、NNSAの日常を記したブログに書いてある下の
記事がネタ元であることが分かりました。
道新(共同通信の?)記者さんもよくこんな記事を見つけてきたものです。


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難しい英語で記されていますが、簡単にまとめるとこの研究機関(NNSA)が、
「4半期ごとの実験結果をまとめて公開した」との内容です。
核性能実験を発表したのではなく、普段の実験件数を発表しただけなのです。
この発表は4半期ごとに行っていて、さらに4半期報告の原文を読んでいくと
年間に数百回の各種実験を行っていることが分かります。
「オバマ政権の姿勢に疑問の声が高まりそうだ」(赤線部)と根拠のない推論で
まとめているところをみると、この記事を書いた記者はどう考えても意図的に
実験を取り上げていて、アメリカのNNSA現地を取材したとは思えません。
興味のある方はぜひNNSAのホームページを見ていたただきたいのですが、
私が見る限り(英語力が乏しいせいかもしれませんが)、これが日本に有害な
実験とは思えないのです。
国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration)ホームページ
http://nnsa.energy.gov/
NNSAのブログには、多くの研究者が核兵器の拡散防止やテロの撲滅、安全
対策のために研究開発を進めている様子、時には中学生やガールスカウトも
見学に訪れている様子が記されています。
昨日の市議会では私は次のように反対の理由を述べました。


私も核兵器の廃絶と世界の平和を願う立場に変わりはありません。
しかし、アメリカの「核性能実験」とはいったい何なのか?「核実験」とはどう違うのか
調べたところ、今回行われた核性能実験は、北朝鮮が行った地下核実験などとは
まったく異なるものであることが分かりました。
アメリカ合衆国・国家核安全保障局(NNSA)の発表によると、実験はニューメキシコ
州にあるサンディア国立研究所で巨大なX線発生装置とパソコンを用いて研究室内で
行われた屋内実験で、爆薬や核兵器は使用されていません。
アメリカは冷戦終結後に核兵器生産を止めたため、保有する核兵器は製造後30年
以上経つ古いものが多く、耐用年数に達した兵器は順次廃止し、それまでの間は
信頼性確保のために常に安全性の確認や点検、修繕が必要と説明しています。
実験の目的は既存の核兵器を安全に維持管理するため、あるいは、安全に廃棄
するための技術開発であり、新たな核兵器の開発のためでは決してない、
ということです。
 
一般に核実験が問題とされるのは、核爆発に伴い地球上に多くの放射性物質が
飛散されることが理由ですが、今回の実験は爆発はなく放射性物質も外部に放出
しておりません。
我が国でも大学等で原子力技術研究は盛んに行われており、核兵器の開発の
ためではなく、老朽化した兵器を安全に管理するための研究であれば、本市議会が
反対するゆえんは無いものと考えます。
そしてもう一つの反対の理由は、わが国の安全保障上の理由であります。
わが国は近隣にロシア、中国、北朝鮮と核保有国に囲まれています。
こと北朝鮮は、先日、国際社会の批判を無視して地下核実験を強行するとともに、
わが国の方角を目掛けたミサイル発射を幾度も実施しており、こうした理不尽な
恫喝行為が、わが国の領土と国民の安全を脅かしていていることは周知の事実で
あります。
かかる国際情勢の下で近隣諸国の核の脅威に対して、戦力を持たないわが国の
安全を担保しているのは、日米安全保障条約に基づく米国の核の傘に他なりません。
わが国は同盟国として、今回の米国の研究活動を科学技術の進歩として冷静に
受け止め、そしてその意義を正確に理解する必要があると思います。
札幌市議会が正しい知識を持たずに左翼団体と類する抗議声明を発することは、
友好国に誤ったメッセージを伝えることになり、近年、冷却が懸念されている、
日米両国間の同盟関係をさらに損なうことになりかねません。
ひいては近隣諸国を利するとともに、わが国民の平和と安全にも著しい悪影響を
及ぼしかねず、私は本決議に反対するものであります。
最後になりますが、今回実験を行ったアメリカ国家核安全保障局は、福島第一原発
の震災事故以来、日本国内において綿密な放射能汚染の測定を行い、その
測定データを日本政府より先に公表しています。
このデータは全世界に向けてインターネットでも公開され、被災者の避難や被爆
対策にも有効に生かされてきました。
私は核エネルギーと世界の平和を推進する立場から、こうした米国の優れた核の
安全管理体制に学ぶことは多いと考えます。
諸外国の核実験について、過去の慣例により決議書をエアメールで郵送して終わり
ではなく、我が国に脅威のあるものなのか否か、国益に資するものか否かをしっかり
見極め、国民の平和と安全を守る観点から適切な判断すべきことを付け加える
べきだと思います。
(演説ここまで)


このNNSAが本当に危ない実験をやっているところなのかどうか、近日アメリカの
現地を見てくるつもりです。
その結果は後日こちらでもご報告します。