前回の投稿から少し時間が空いてしまいましたが、GWのアメリカ訪問記を続けます。
今回訪れたサンディ・スプリングス市とダンウディ市でそれぞれの関係者と話していて、
地方自治体の考え方が日本とずいぶん違うことを感じました。
日本では地方自治体の役割は非常に幅広く、消防、清掃、警察、道路といった基本的な
行政サービスだけでなく、鉄道や病院、水道、観光施設、土地開発、住宅建設など民間
でも出来るような業務をたくさん抱えています。
この結果、行政機構がどんどん肥大化して、硬直化した公務員人事制度や、やっても
やらなくても成果が問われないお役所仕事の非効率性が問題になっているわけですが、
アメリカでは民間に出来ることは民間に任せるという考え方が徹底しています。
市役所の窓口も下記の写真のように閑散としていて、日本の市役所のように住民票の
発行を待つ市民が並んでいるということはありません。
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(写真:Dunwoody市の市民窓口、訪れる人はまばら)
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(写真:Dunwoody市の長室。意外とこじんまりとしていて質素な感じ
基礎自治体である「市」の仕事はアメリカでは極めて限定的です。
福祉や医療扶助といった日本の市町村の仕事の大部分を占める仕事は州政府の役目と
されていて、「市」の仕事は道路や衛生、公園、警察、消防など生活に身近な業務に
特化されています。
税金の徴収についても、日本は政府、都道府県、市町村、日本年金機構がそれぞれ
別々に担当を置いて徴収していますが、アメリカでは市は徴税を担当せず、都道府県に
あたるカウニー(郡)がまとめて徴税しているそうです。
また日本では都市計画はお役所が決めるもので、地方議員が計画を作ることは稀ですが、
アメリカでは街の将来を決める都市計画はむしろ地方議員の重要な仕事だそうです。
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(写真:都市計画担当セクションのオフィス。業務委託された民間企業の社員が座っている)
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(写真:交通管理センター各地の渋滞状況を見ながらコンピューター信号を制御している。
 二人とも業務委託先の民間IT企業の社員です)

話を聞かせてくれたサンディ・スプリングス市の議員さんは、私との少し話が脱線して
ある地域の土地利用規制を緩和して大型商業施設を許可することの話題になったら、
私のことをそっちのけで(?)真顔で延々議論していました。
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(写真左からSandySprings市議員のGabriel Sterlingさん、Dianne Friesさん、金子)
地方議員の考え方もずいぶん違うようで、アメリカでは議員は地域の代表者として
District(区)を代表して一人が原則。
サンディ・スプリングス市の議員はわずか6人です。
日本のように各区それぞれ何人も議員がいて合計するとウン十人になるというのと
違って、物事を決められるように少人数で議会を構成しているそうです。
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(写真:Dunwoody市議会の本会議場。奥のひな壇が議員席。
 議員は6人で真ん中に市長が着席する。後方の椅子は傍聴用の市民席

「札幌市の議員は68人います」と説明すると、「どうしてそんなに大勢いるの?」と
どの人にも必ず驚かれました。
その上、「議員報酬は年1400万円です」というと、さらに目が丸くなります。
「それじゃあきっと、Full Time Jobなんだね」と言われるのですが、
「いやパートタイムで、議会は年4回しか開かれません」と答えると、今度は完全に
あきれ顔になります。
アメリカでは地方議員の報酬は日当程度しかないそうです。
逆に言うと、日本のように専業政治家として議員活動で生計を立てているのではなく、
事業に成功した人や、会計士、弁護士などのプロフェッショナルがその知識経験を
生かして半分ボランティアで地域の代表を務めているようなイメージです。
市長(Mayor)は市議会議長も兼ねていて、議員の意見が二つに分かれたときは
議長である市長が判断を下すそうです。
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(写真:Dunwoody市の市長Mike Davisさんと金子)
文化も歴史も違う国ですから、どちらが良いのかは意見の分かれるところと思いますが、
議員も行政も合理性に徹していることは間違いありません。
民主主義の先進国である彼の国の行政システムに学ぶことは、まだまだたくさんある
ように感じました。


(おことわり:ここで述べたアメリカの行政機構は州によっても差あるようです。
 不慣れな英語での耳学問につき、内容に不正確な点がありましたらご容赦ください)