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開成中等教育学校、国際バカロレア認定校を目指す方針。札幌市教委が明らかに

本日、文教委員会が開かれ、平成27年春に開校予定の開成中等教育学校の入試と
教育内容についての審議が行われました。
入学試験は以前のブログでお伝えしたように、適性検査と公開抽選で行うことが
決まっていますが、これについて議員の間ではやはり賛否両論でした。
「適性検査で上位の得点を取っても抽選で外れるのは不公平だ」という意見の一方で、
「受験競争の低年齢化を防ぐため抽選の方がかえって公平」との意見もありました。
入試の話題は教育委員会議の情報をもとに以前も記しましたので詳細は割愛して、
今日の話題はもうひとつの柱である教育内容についてです。
参考:「札幌・開成中学、入試の方針固まる。基本は公開抽選に」(2013年07月19日)
札幌開成中等教育学校は中高6年間の一貫教育です。
生徒の育成像として、「日本を支え国際社会で活躍する札幌人」を挙げています。
これを実現するために、スイスの国際バカロレア機構の指導を受けて、日本でも
有数の国際バカロレア認定校を目指すそうです。
「国際」という名の通り、授業のほとんどは英語で行われ、文部科学省の学習指導
要領ではなく、世界標準のカリキュラムが組まれます。
このような認定校で所定のコースを終了した生徒は国内ではなく世界中の大学の
入学資格を得ることができます。
かつて日本の教育と言えば、受験勉強で東大に行って官僚になり、将来は大臣に
なるか大企業に天下るのがエリートコースとされていました。
しかし、いまはもうそんな時代ではありません。
これからの札幌では開成中等教育学校を卒業したら、いきなりケンブリッジや
ハーバードなど世界に羽ばたいていくというのですから、新しい教育スタイルで
とても夢がある話です。
ただ、いくつかの課題が浮かびました。
一つは、「本当に世界の名門大学に進学したい生徒がいるのか?」ということ。
委員会で率直に市教委に尋ねたところ、
「そのような調査をしたことがないので、海外留学へ希望があるかは分からない」
との驚きの答弁でした。
ニーズも分からないのに思いつきで箱を作ってしまうのは役人の十八番です。
今からでもしっかり生徒のニーズを調査してカリキュラム編成に生かすべきです。
二つ目には、「英語で授業が出来る先生が札幌市立学校にいるのか?」ということ。
市教委の答弁では、
「ALT(外国語助手)に先生へのレッスンをしてもらい語学力を高めます」
と説明します。
しかし、ALTとは子供達に英語を親しんでもらうための外国人青年の時給制の
アルバイトです。
助手という名のとおり先生ではなく、採用資格は英語が話せることだけです。
バカロレアの教育は英語の授業をするのではなく、英語を使って高校生の数学や
社会、理科などの科目を教えるのです。
「英語の先生が英語を話せない」という笑い話があるくらいなのに、駅前留学並の
の研修では大きな不安が残ります。
本校に赴任する先生は希望すれば海外のバカロレア校で長期研修できる制度を
用意するなど、生徒に本物の教育を実践できるような、しっかりとした予算付けが
必要です。
そして最大の課題は、「公立の開成中等教育学校の生徒の保護者が本当に
海外留学を望んでいるのか?」ということです。
子供が「海外に留学したい」といえば、なんとしても行かせてやりたいのは親心。
お金持ちの子息が通う名門私立なら海外留学の学費をポンと用意できる家庭は
いるのかもしれません。
しかし、普通の公立校の家庭なら「なるべく親元から大学に通って欲しい」と願う
のが本心ではないでしょうか。
海外の大学へ進学し、世界で働くことは確かに大きな夢です。
しかし、留学費用の問題や卒業後の就職先の問題など、ただ海外に行けば夢が
かなうという簡単なものではありません。
現実としては国内での進学を選択する生徒が多いはずです。
「世界に行け」と上から押しつけるのではなく、生徒が自ら希望する進路を安心して
選択できるように、まずは日本語での確かな学力を習得させるのが税金を使った
本来の公教育のありかただと私は思います。
しかし、札幌市教委の説明によると、
「大学進学が教育目標ではない」
「自ら課題を見つけ、解決できる生徒を育てるのが目標だ」
という禅問答のような説明で、大学への進路指導を明確に否定します。
国内の大学への進路指導は拒否するのに、世界の大学へは進学させたい、と
言う点に、どうにも矛盾というか海外コンプレックスが感じられてしまいます。
札幌市は全国に遅れて中高一貫校を開くにあたり、「何か特色をださなくては」
とばかりに慌てて国際バカロレアに飛びついたような印象を受けるところです。
学問に王道無し。
あまり奇をてらわずに、オーソドックスに教育内容を充実させてコツコツと堅実な
卒業生を輩出することが本来の役割なのではないかと私は思います。
しかし札幌市として国際バカロレア認定校を目指すという方針を決めてしまった
以上、いまさら元に戻ることは出来ないのでしょう。
今後、充実した教師陣の魅力ある学校を開いていただくよう願うばかりです。


参考リンク
札幌開成中等教育学校市民説明会を開催します(札幌市教委HP)

コメント

  1. 「教育の失敗は許されない」ゆとり教育で凝りていないんですね。
    ゆとり世代がどれだけ社会で肩身の狭い思いをしてるか。
    結果が出るまで10数年、そのころには推進者は生きてないから追求されないか。
    数年前「世界に通じる人間の育成」立命館慶祥高校卒今井某氏が一躍有名になったが
    その二の舞になりかねないような気がしてなりません。

  2.  学校を選ぶのは、本人の自由だと思います。その選択肢が広がるのも、けして悪いことだとは思えません。親に財力があるのであれば、その子どもは留学すればいいし、ないのであれば諦めるしかありません。子は、親を選べないのです。
     ただ、金持ちを批判する権利がないように、貧乏人にもなんらかの機会が与えられる世の中だといいですね。今回の札幌教委の取り組みは、その点に配慮が欠けている気がします。
     加えて、市の方針として過剰に国際派を強調するのも、あまりよろしくありません。なんでもかんでも「海外は進んでいる」であるとか、自称知識人には耳に心地良いらしい「グローバルな社会」等は、言っていることが中途半端に正しいだけに、モラルの押し売りに繋がりかねないからです。行き過ぎれば、まさに良心のファシズムですね。
     知識人曰く「今後は国際化が進むから、子どもには英語教育を」だなんて、語学力がすなわち対話力になるのだと思っている、典型的なミステイクですね。
     ですが、なんでも聞くところによれば、アメリカでは五歳の子どもでさえ英語がペラペラらしいですよ。イタリアでは小学校の入学前にはイタリア語が話せるらしいです。
     まあ、冗談はさておき、ひとはその口から何語を話すのかではなく、その頭で何を考えられるかなのかもしれません。二ヶ国語が話せたからと言って、五歳の子どもが話す内容は、やはり五歳の子ども程度でしかないからです。これは年齢だけの話ではなく、何語を喋っても馬鹿は馬鹿とは、いったい誰の言葉だったでしょうか。発言者の名前は失念しましたが、的を射ています。
     コミュニケーション力は、まず母国語で培ってもらいたいものですね。でないと、ジャパニーズスタンダードが廃れます。そちらのほうが大問題です。

  3. 珍しくまともなことを書いていると思います。国際社会で活躍する札幌人が、人材流出と何が違うのか、きちんと説明してもらわないと、税金を集中的にかける価値があるか判断しようがありませんね。
    抽選で決めるのなら、決定時期に注意が必要だと考えます。私立中高一貫の合否と同じタイミングが良い。

  4. 子供が夢を持つのはとてもいいことです。
    しかし、うちの子供達は、公立中学校の先生方にさんざんその夢を潰され続けました。
    まずは、公立中学校の先生の質を高める、そこからですね。
    開成中等教育校にばかり意識が集中するあまり、他の学校はどうでもよくなるのでは本末転倒。
    税金は公平に使って欲しいです。

  5. 東区民様
    一晩明けて改めて読んでみたら、ご指摘の通りだと思いました。
    本文の一部を修正させていただきました。
    早速のご意見ありがとうございます。

  6. 子どもに夢を持ってもらうことは良いことと思います。親や保護者の概念を打破する子どもたちが増えないとこの国の未来はないと感じます。
    僭越ながら今日の先生のブログはらしくないですよ。
    大変申し訳ありませんか、批判のためのコメントに見えてしまいました。
    たわいもない親です、そして市役所や教育委員会は遠い存在なのでよくわかりませんが、自分の子どもには身近な夢を持つように教えている立場としては、開成を受けさせたいと本音で思いました。