「弱い人を助ける公契約条例になぜ反対なの?」と最近よく聞かれます。
新聞では、業界団体の意向を受けて反対しているように伝えられていますが、
そうではありません。
昨日の本会議で行った反対演説の要旨を下記に掲載します。


私は市政改革みんなの会を代表し、「議案第32号 札幌市公契約条例案」に反対の
立場で討論します。
昨日、大通公園で上田市長はテレビカメラの前でハンドマイクを握り、
「公契約条例に反対することは、『最低賃金で働かせる権利を認めろ』ということだ」
と叫びました。
本当にそうでしょうか。
最低賃金はその名の通り最低の賃金であり、これで良いと思っている人は労働者にも
経営者にもいないと思います。
厳しい経済環境の中で結果的にこうなっているのであり、いかにも経営者が労働者を
搾取しているかのごとき一方的な決めつけは良くありません。
もとより我が会派は公契約条例反対の経営者の代表ではありませんし、
「最低賃金で働かせろ」とも思っていません。
この1年半、公契約条例案を吟味し、賛成派、反対派それぞれの意見を聞いた上で、
純粋に札幌市民の立場、納税者の立場から会派内で議論を交わした上で、昨日この
判断を決めたものであります。
これより本条例案に反対の理由を3点に絞って申し上げます。
ひとつは、公契約条例の政策効果に疑問を感じるためです。
ワーキングプアの解消、働く人の生活向上には私も大賛成です。
しかし、これは本来、国が金融財政政策を通じて実現すべき大きな課題です。
物々交換の時代ならともかく、人も資本も情報も自由に移動するグローバル経済の中で、
一地方自治体だけで実現できるような簡単なものではありません。
病気に例えると、もし札幌中に「低賃金」というインフルエンザが流行しているとしたら、
市役所近くの一部の患者だけ治療しても効果は乏しいのではないでしょうか。
むしろ市内の患者全員に「お金」というクスリが行き届くような仕組みを作らなければ、
札幌市全体のインフルエンザ退治はできません。
しかし残念ながら札幌市自体が借金漬けの貧困自治体で、患者全員に配るおクスリ
はありませんし、国のように1万円札を印刷しておクスリをばら撒くこともできません。
新たに条例を作るということは、それに関わる組織と職員も増やすということです。
限られた財源で一部の労働者だけを特別扱いするコストは、結局はその他大勢の
納税者が負担するわけで、だからこそ多くの市民が反対しているのだと思います。
市長の職責は一部の労働団体の代表ではなく、物言わぬ多数の納税者の代表という
ことをもういちど思いだしていただきたいと思います。
2つ目の理由は公権力による民間企業経営への強権的な介入は、民の創意工夫を
重んずる自由主義経済の精神に反するからです。
公契約条例は発注者の権限を振りかざして、立場の弱い民間企業に無理やり賃上げを
迫る仕組みですが、このやり方は、大企業による一種の下請けイジメに近く、自由で
公正な経済を目指す近代経済法の理念にも背くものです。
仮に札幌市の仕事を請け負う企業が違法行為を犯しているならば是正が必要ですが、
法に則り適正に事業を営む企業に罰則をちらつかせ立入検査まで行うのはやりすぎです。
マクロでみれば、賃金は市場の需要と供給の関係で均衡するようにできています。
ミクロで見れば、会社の賃金水準は、社内の労使間で決めるべきものです。
上田市長は札幌市の出入り業者が賃上げさせるのは当然と思っているようですが、
民間企業は、お役所によるがんじがらめの規制の中で厳しい競争にさらされ、わずか
1円の利益を生み出すためにも日々血のにじむような努力をしています。
市長の権力の源泉は市民の税金、つまり市長が稼いだお金ではなく、民間が稼いだ利益、
汗と涙の結晶であることを忘れるべきではありません。
3つ目の反対理由は、公契約条例に対する市役所の本気度に疑問を感じたためです。
条例案が議会に示されたのは10月3日の議運ですが、我が会派が条例案の説明を受けた
のは、その3週間後の10月24日のことでした。今日からちょうど1週間前のことです。
あまりに遅い。
相手が賛成だろうが反対だろうが、議案を説明するのは理事者の仕事。
まして公契約条例は上田市長3期目最大の公約であることを考えれば、公約実現のため
には、この1年半の間、反対派議員ともじっくり信頼関係を築き、情熱を持って説得に当たる
のが副市長以下幹部職員の役目だったのではないでしょうか。
その一方で猛反対の業界団体への説明も18日の一回だけだったと聞くと、
「もしや条例を作りたいのは市長だけ」
「で本当は副市長以下の市役所一家は条例を通したくなかったのではないか?」
そう疑いをもたざるを得ません。
安定雇用に守られた高給取りの札幌市職員が条例制定への努力もせぬままに、労働者の
味方のふりをするのであれば、労働者階級への背信行為だと私は思います。
以上3点が公契約条例に反対する主な理由であります。
最後に上田市長に提案があります。
もし本気でワーキングプアの解消をお考えならば、市長任期終了後、ぜひ自ら清掃・警備の
会社を興し、小さくとも本当に労働者を思いやる企業経営を志してはいかがでしょうか。
幸いにも最低落札価格の見直しで経営環境は改善しています。
もしうまくいけば、必ずやおおくの経営者が後に続くことでしょう。
必要があれば私もお手伝いさせていただくこともやぶさかではございません。
「率先垂範」「まず隗より始めよ」という先人の言葉を市長と共有したいとの思いを託し、
私の討論を終わります。