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渋谷区・ピアノ払い下げで書類捏造。これは官製談合か?

情報公開の部屋

令和4年度渋谷区決算特別委員会の報告です。
渋谷区立小学校のピアノ払い下げについて情報公開請求したところ開示されたので、資料を公開します。
令和4年度に区が払い下げたピアノは2台です。

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官製談合の疑いが浮上

資料を丹念に見ていたところ、疑問がいくつも浮かんできました。
関係者へ取材したところ、官製談合が疑われる事案が判明しました。

神南小学校のアップライトピアノ・YAMAHA/U1A
代々木山谷小学校のグランドピアノ・YAMAHA/G3E

上記の表は渋谷区会計管理室が私に開示した公文書です。
令和4年10月11日付で会計管理室長から契約課に不用品売却請求しています。

なぜピアノを払い下げたのか?

ピアノを払い下げる理由として、
・活用予定がないため
・経年劣化による使用不可
と書かれています。

上の表で「経年劣化による使用不可」と言われたグランドピアノ。
資料には売却予定価格が17万円とも書いてあります。

・使用不可のピアノが17万円で引き取ってもらえるのか?
・もし本当に17万円で引き取られるなら、それは使えるものではないか?

という素朴な疑問を感じます。
「活用予定がないため」という理由も謎です。
いまは小学校でピアノを使わないのでしょうか?

代々木山谷小学校から払い下げたグランドピアノ

気になる見積もりは

業者から提出された見積書がこちらです。

いけぶくろ楽器株式会社の見積書(情報公開されたもの)

見積もり業者は「いけぶくろ楽器株式会社」です。
渋谷区内に楽器店があるのに、なぜ池袋の会社を選んだのかは不明です。
冒頭の渋谷区作成文書のグランドピアノ17万円という予想とは異なり、
見積書では82,000円と査定されています。
随分低い。

でも渋谷区役所はこの見積書をもとに、一般競争入札を行うことなく、随意契約で「いけぶくろ楽器株式会社」に売却しました。
本来は一般競争入札を行い、いちばん高い価格を提示した会社を選ぶべきです。

私の質問に対して
・「いけぶくろ楽器」と「山野楽器」の2社から合見積もりを取った、
と担当者は言い張っていました。
しかし、書類を精査したところ、なぜか日付の辻褄が合いません。
読みどおり、相見積もりはアリバイだけ。
実態は官製談合だと私は判断しました。

非公開の裏・見積書が別にあった

なぜならば、非公開のいけぶくろ楽器の裏・見積書が別にもう一つある。
この驚きの事実が私の調査で明らかになったからです。

いけぶくろ楽器株式会社の非公開(裏)見積書

こちらは私が独自取材で入手した非公開の裏・見積書です。
情報公開ではひそかに隠ぺいされていて、私には開示されませんでした。
渋谷区がなぜこれを隠していたのか?
ここがポイントです。
表の公開版と裏の非公開版で様式はかなり違いますが、中身は一緒か?


いや・・・?
2つの見積もりをよく見比べてみると、とんでもない違いが見つかります。
それぞれ拡大してみましょう。

いけぶくろ楽器の公開版、表の見積書、「グランドピアノ82,000」と書いてある
いけぶくろ楽器の非公開の裏・見積書、「グランドピアノ170,000」と書いてある

オモテとウラで見積書の金額が違う

渋谷区が私に開示した見積書は「グランドピアノ82,000」と書いてある。
それなのに非公開のウラ見積書には「グランドピアノ170,000」と書かれているのです。
同じピアノなのに金額が違います。
同一の会社が出した見積書なのにおかしいですね。
それなのに別のもう一台のピアノと合計した最終金額はどちらも一致しています。
業者と金額ありきで渋谷区が先に握っていた証拠です。
どちらも日付が入っていないことも特徴です。
あとで加工できるように日付を空けておくのは談合でよくある兆候です。

ちなみに、渋谷区がアリバイで取得した別の会社(山野楽器)の合い見積金額はこちらです。

山野楽器の見積金額、グランドピアノ146,000円

別の会社(山野楽器)は146,000円との見積もりでした。
いけぶくろ楽器が82,000円で、山野楽器が146,000円だったら、
高い方の山野楽器に買い取ってもらったほうがよいものです。
でも渋谷区はあえて安い方のいけぶくろ楽器を選びました。

此処から先は私の推測です。
おそらく、
・渋谷区は何らかの理由で最初からいけぶくろ楽器に業者を内定していた
・後付けで山野楽器からも見積もりを作ってもらった(アリバイ工作した)
と考えられます。

アリバイ工作の証拠はこれだ

アリバイ工作の根拠をひとつ示します。

令和4年7月1日付渋契第222005号、見積書の提出について(通知)から抜粋

これは渋谷区役所が公開した業者2社への見積もり依頼書です。
ここには、
「見積書提出期限 令和4年7月21日(木)午後4時00分まで」
と書いてあります。

それなのに、渋谷区は見積もり提出期限の7月21日の同じ日にいけぶくろ楽器と契約しているのです。
見積もり合わせは最初からアリバイ作りだったことの証拠です。
契約書の日付にご注目ください↓。

売買契約書の日付に注目、渋谷区の契約課長は「森田一央」氏

契約課長・森田一央氏のハンコの上に、令和4年7月21日と記載されています。
一般競争入札を行わない場合、見積もり合わせと言って複数の会社から見積もりを取って形式的な随意契約を結ぶことがあります。
この場合、ふつう官公庁では業者から見積書が提出されたあと、それらを表にまとめ関係各所に供覧してハンコを取ります。
その結果をもとに契約書を作り、内部決裁を回してから業者と契約します。
見積書提出期限と同日に契約することは実務的に不可能です。
仮に30分でスピード決裁が取れたとしても、7月21日(木)午後4時が見積もり締切なのに、午後5時の閉庁時間までに板橋区のいけぶくろ楽器さんに渋谷まで来てもらうことは無理でしょう。
あるいは午後4時にいけぶくろ楽器さんが社判を持って区役所でスタンバっていたとしたら、これも談合の証拠。

まずこれが最初からいけぶくろ楽器に決まっていたことを示す証左です。
アリバイを作るために別の会社(山野楽器)から見積もりを取っただけということです。
アリバイ会社にしたら忙しい中に見積もりだけ作らされていい迷惑です。

アリバイ工作の根拠、2つ目

もう一つ、渋谷区役所の隠蔽工作の証拠を示しましょう。

上の写真で示すように、渋谷区は「いけぶくろ楽器株式会社」と
令和4年7月21日に契約しています。
ところが、トップページにある区役所の文書をよく見ると、
内部文書の作成日が令和4年10月11日と書いてあるのです。

業者と契約したのが7月で、その前の区役所内の決裁が3ヶ月も後の10月、
なんてことは普通ありえません。
それならば最初から業者が決まっていたことになります。
書類をあとから捏造していた証拠です。

担当者は矛盾にしどろもどろ

この矛盾を担当者に質問したところ、
「パソコンのトラブル?」
などと説明していました。
担当者はおかしいと自分でも思ったのか、
「(金子の)情報公開請求を受けて資料を見ているうちに日付を変えてしまった」
と説明を変えました。
でもそれもたぶん違います。

こちらは情報公開の可否決定通知書です。
私が情報公開を受けたのは令和4年11月24日なのです。
一ヶ月以上あとのことです。

そもそも情報公開された公文書の日付がコロコロ変わること自体が異常です。
公文書を都合よく書き換えて良いのでしょうか?
財務省の森友事件のように、実は裏でいつもやっているのでしょうか?
公務員が嘘をついたりごまかしたり、とは世も末です。

此処から先も推測ですが、私の情報公開請求で資料をまとめているうちに、渋谷区はなんらかの不正に気づいたのでしょう。
問題発覚を恐れて、後付けで説明資料を偽装したのではないかと思われます。
私の取材に対して、渋谷区の幹部職員は情報公開請求を受けて開示する書類は「いつも抽出している」という表現で、常習的に隠して開示していることを認めました。

なぜ官製談合したのか

それではなぜ、渋谷区職員は官製談合を行ったのでしょうか?

一般的には
・業者から金品を受け取っている(ワイロ)
・業者を探すのが面倒(サボり)
などの理由が考えられます。

私は刑事ではないので残念ながら本当の理由までは調べることはできませんが、公務員が不正を働くのは犯罪です。
国民から集めた税金で仕事をしている以上、入札は広く公明正大に行わなければなりません。
お気に入りの業者だけをこっそり重用するのもいけません。
渋谷区では「毎年のようにいけぶくろ楽器にピアノを払い下げている」という通報が私のもとにあったことも申し添えます。

以上、渋谷区役所の不正の一端をご紹介させていただきました。
この疑惑は2月24日の本会議でハセベ区長に直接質問します。
不正や隠蔽工作など不正を許さない区民の皆様、あるいは渋谷区役所の中の方の情報提供もお待ちしています。

資料ダウンロード

資料を公開しますので、ダウンロードしてご覧ください。


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