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渋谷区議会で新人議員を待ち受けるワナ

渋谷区議会

今年4月に区議会議員の改選があります。
桜の開花とともに新しい議員さんが選ばれ入ってくることでしょう。
そんな未来の新人さんのために、私が4年前に渋谷区議会でハマった「ワナ」をご紹介します。

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新人議員に仕掛けられたワナ

激しい選挙戦を繰り広げて、見事に当選が決まった翌日。
当選者は区役所に呼ばれ、当選証書授与式で夢の議員バッチを手にします。

当選証書授与式の会場(平成31年4月撮影)


これから区民のために一生懸命働くぞ!

決意を胸に晴れやかな笑顔で議員バッチと当選証書を受け取る際に、
「明日は区議会の説明会を開くので出席するように」と言われます。
一時間ほどの事務的な説明が事務局からあるそうです。
ところが、先輩の堀切ねんじん議員が「出ないほうがいい」と言います。
新人議員を引っ掛けるワナが仕掛けられているというのです。

「いやでも、説明会だろ?」
「事務的な説明なら聞いておいたほうがいいよな?」
「だいたいワナってなんだよ?」
そう私は思いました。

しかし、先輩のアドバイスを無視して説明会に出席した私は、まんまと仕掛けられたワナ(落とし穴)に見事にはまったのでした。

説明会と称した落とし穴

渋谷区議会にはへんてこりんな習慣がいくつもあります。
議会用語では「慣例」とも言います。
へんてこりんな習慣は議員の力を縛り、区長に都合よく制約するためのものです。
法律でも条例でもないので、本当は従う義務はありません。
しかし説明会に出ると、
「説明会で説明しましたよね」
「不満ならどうして説明会で発言しなかったのですか」
「議会の決まりなので従ってもらいます」
とあとで役人に言われてしまうのです。
それでは説明会でどんなワナが仕掛けられていたのか、5つご紹介しましょう。

へんてこりんな習慣1:議員は資料請求できない

私が渋谷区議になりたての頃、区役所の担当に資料請求したところ断られました。
「議員に資料は提出できません」
「議員に調査権はありません」
「どうしても資料が必要なら議長を通して請求してください」というのです。
どれだけ拝んでも議員個人では公文書を見せてもらうことができません。
「理由は新人説明会で説明した」といいます。
説明会でもらった資料を読むと、確かにこう書いてあります。

渋谷区議会・区議会に関する説明会資料 11ページ

「事務調査権は、委員会に認められた権限であり、議員個人の権限ではありません。」

渋谷区議会・区議会に関する説明会資料

と書かれています。
議員個人には権限がない。
だから資料がほしいなら委員会で決議をして(可決して)取れというのです。
議員が役所をヨイショするときは良いのですが、反対に役所の不正を暴こうとする場合は区長与党が邪魔をします。
実際にここでは公明党(ハセベ区長与党)が私の質問を執拗に妨害します。
ですから、委員会の多数決で私がほしい資料を取るのは困難です。
こうして渋谷区議会では議員が区役所の資料をもらうことができないのです。
どこまで渋谷区役所は隠ぺい体質なのでしょうか。
以前に別の市議会で議員を務めていたときは、電話一本掛ければ資料が机に届いたので、渋谷区の仕組みにはとても驚きました。

へんてこりんな習慣2:議員は情報公開請求できない

渋谷区議会議員は情報公開請求ができません。
本来は情報公開は国民の「知る権利」で、だれでも請求できるはずです。
国の法律や渋谷区の条例でも定められた権利です。
ところが渋谷区議会では、議員は情報公開請求しないという習慣があるのです。

渋谷区議会・区議会に関する説明会資料 11ページ

説明会で配布された資料にはこう書いてあります。


「区理事者からの十分な対応が得られず、それ以上の審議が不可能と思われるときには、議員は、原則として情報公開請求を行う権利を有します。」

原則として、というところがミソです。
ここ(渋谷区議会は)例外なのです。
「原則として情報公開請求を行う権利を有する」ということは、渋谷区議会風に言えば「議員は情報公開請求を行う権利を有しない」と読み替えられてしまいます。
まずは議会で審議をしろ、それでもダメなら情報公開請求を行う権利を有する、と説明会でいうのです。
でも、こちらは審議の準備のために先に資料がほしいわけですからアベコベです。
手元に資料もないのにどうやって審議をするのか?
先輩の堀切ねんじん議員もこの壁にぶち当たり、仕方なく最後は議長相手の裁判で決着を付けたそうです。
私も決まりを無視して勝手に情報公開請求しています。

へんてこりんな習慣3:個人情報を盾に脅かされる

隠ぺい体質の渋谷区議会では議員にマル秘情報が明かされることはありません。
それでも仮に明かされたして議員がネットで公開することは禁じられます。
個人情報保護条例が理由だというのです。

説明会では、


「一年以上の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」
「個人情報の取扱には、慎重に対応してください」

と議員を脅かしています。

議員が情報を公開するのは私利私欲のためではありません。
有権者に中で起きていることを知らせ、国民の知る権利を保証するためです。
個人情報保護法で政治活動は適用対象外になっています。
渋谷区が言う個人情報とはなんの関係もないのですが、ワケの分からない理由で議員の行動を縛ろうとするのが渋谷区議会です。
いじめを隠ぺいして教育長に栄転した五十嵐俊子氏を批判したときも個人情報を理由にハセベ与党からさんざん嫌がらせを受けました。

へんてこりんな習慣4:本会議でアドリブ質問は答弁されない

日本全国どこの議会でも本会議はハレの舞台です。
関係者が恥をかかないように事前に準備が綿密に行われます。
本会議当日は議員も理事者も基本的に台本を読んでいるだけです。
渋谷区でも本会議の質問は3日前までに通告書を出し、前日までに質問をまとめて役所側に提出します。
しかし、当日に緊急質問や本会議中にふと湧いた疑問もあるはずです。
渋谷ではこういった本会議当日のアドリブ質問には答弁がないとされています。

「「質問要旨」に記載のない数値等については、答弁が得られないとお考えください。」

と書かれています。
説明会で説明したので、アドリブの質問には答弁しないというわけです。
本来ならば本会議ではどのような質問が出ようが、できるだけ答弁するのが理事者(役人)の努めですが、これをあらかじめ免除してしまうわけです。
先に逃げを打っておけば理事者(役人)はラクですね。
突然の質問に右往左往して本会議が紛糾するリスクをヘッジできます。
議員からどんな質問が来ても答えるのがプロですが、渋谷区の役人はアマばかりなのか?
こんないい加減なルールがまかり通っているのは、いかに渋谷区では議員が役人に舐められているか、ということです。
役人も悪いが、これを許してきた過去の議員がもっと悪い。

へんてこりんな習慣5:議員は無断で旅行できない

渋谷区議会では議員が1泊以上旅行するときは届け出が必要です。
行き先と理由を事前に書面で議長に届けなければならないのです。

「中学生じゃあるまいし、旅行くらい勝手に行ってもいいだろ?」
「自分のお金で旅行して何が悪いのだ?」
そうと思うのは間違いです。
無届けで旅行に出かけ写真をうっかりSNSに上げた議員がバレて処罰されたという前例があります。
私は北海道出身だったので区議になりたてのころは毎月のように帰っていて、その都度旅行届を出さなければなりません。
面倒くさい。
自費で私用で旅行するときはともかく、調査のために公費で旅行するときくらいは事務局に手伝ってほしいですね。
ところが反対になにも手伝ってくれないのが渋谷区議会です。
議会事務局はいつも邪魔するばかりだ。

まとめ

渋谷区議会の事務局は普段から議員のサポートをする姿勢が見られません。
むしろ区長寄りの立場で議員を監視するような体制になっています。
私の議会報告を勝手に修正したのも議会事務局です。

もとより議会はそれ自体が独立した機関です。
二元代表制として区長の暴走を止める役割もあります。
議会の事務局は議員の側に立ち、議員の政策立案や行政監視を支援するのが本来の役割のはずです。
しかし、反対にずっとこうやって議員を縛っているのが渋谷区議会です。

区議会事務局の職員は区長の部下であることを考えれば、反区長派議員への支援を期待するほうが間違っている。
私や堀切議員を徹底的にいじめ抜いた事務局職員には、区長から昇進昇格のご褒美があるのだろう。
そう考えると彼らの意地悪ぶりが理解できるのです。
これが4年間の渋谷区議生活で感じた、私の区議会事務局への感想です。

この春に当選された新人議員さんへ

当選おめでとうございます。
貴方が議員として力を発揮したいならば、説明会には出席しないことを勧めます。
区長と一緒にうまい汁を吸いたい方以外には意味がない説明会です。
資料はもらえますので欠席しても何に問題もありません。
令和元年版の資料は下記にPDFで添付しますので参考になさってください。


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