5/9~11まで経済委員会の行政視察で金沢市と富山市を訪れました。
札幌市経済局では、「ものづくり産業」の振興を経済活性化の切り札として
さまざまな施策に取り組んでいます。
今回の行政視察の目的は、伝統工芸をはじめとして「ものづくり産業」の本家
ともいえる北陸地方でその産業の強さと行政・政策を調査することです。
小生は金沢市を訪れるのは初めてだったのですが、金沢は人口約46万人と
札幌の1/4くらいの人口規模なのに、街が札幌よりずっと活気があるように
見えました。
そして金沢市役所で話を聞いてまず驚いたのが、「人手が足りない」という
担当者のことばです。
小生は日本はどこでも景気が悪いのだと思っていたのですが、金沢市内の
有効求人倍率は1倍を切ることはほとんどないということで、最新の統計でも
1.06倍ということです。
これでも雇用情勢は良くないというものの、札幌と比べると天と地ほどの違いです。
(ちなみに札幌東安定所の最新の有効求人倍率は0.39倍です)
この経済の強さの秘密はどこにあるのか?と伺うと、技術力と独創性で勝負する
匠の心が市内の製造業にが根付いていて、近隣アジア諸国との価格競争の影響を
あまり受けていないためではないか、ということなのです。
行政が補助金を出したり規制を掛けたりするのとは全く正反対に、職人気質の
市民が自分たちの力で街を支えている自負があります。
そしてその結果として平成21年には金沢市は世界で初めてユネスコ・クラフト創造
都市に認定された実績があります。
金沢は「ものづくりのまち」といわれますが、これは加賀藩前田家の時代からずっと
戦いを避け、文化・教育振興に力を入れてきた長い街の歴史があるそうです。
行政のものづくりを支える取り組みのひとつとして、職人の高度な技術を若い人に
伝承するために、開設したという「職人大学校」も見学させていただきました。
大工や左官など、普通は建設業の枠組みに入るものが、金沢では製造業として
考えられているそうです。
ものづくりの基本は人づくりから、ということで教育にも大変力を入れているという
ことでした。
翻って札幌市を考えると、高度成長期以降、製造業を政策的に軽視してきた結果、
製造業の厚みが乏しいです。
新たに企業が工場を建てようとしても新規工業用地がないというお寒い状況です。
仕方ないので、北広島や石狩市に新規開設する工場に補助金を出すことを決めたの
ですが、これでは札幌市民の雇用につながるのかは未知数です。
また札幌市経済局は「札幌型ものづくり振興戦略」という計画を立てて、従来型の
製造業ではなく、コンテンツ産業やIT、バイオといった分野での産業振興を図ろうと
試みています。
しかし、ITやバイオが「ものづくり」と言えるのか疑問がありますし、かりにこれらの
産業が将来大ブレイクしたとしても、そもそも札幌で仕事を探す普通の市民がITや
バイオ企業で仕事ができるのか、よく分かりません。
またコンテンツ産業というのは、映画やテレビ番組の制作を指すらしいのですが、
これも市民の職場としては随分縁遠いもののように思えます。
経済を振興し、市民が誇りを持って働くことができる雇用の場を確保するのは行政の
大切な仕事なのですが、少し方向性がずれているような気がしてなりません。
製造業が新興国にシフトしたとはいえ、依然日本の国力を支えているのは製造業です。
製造業が生み出す雇用のすそ野の広さを考えれば、札幌市もいちど原点に立ち返って
産業振興計画を編みなおす必要があるのではないか、と思いました。