4月2日に北海道電力の泊原子力発電所を会派で視察しました。
震災後に北海道電力が行った緊急安全対策の内容を確認するためです。


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私は3.11の東電原発事故の衝撃や、その後に発覚したほくでんの「やらせ」事件、
まだ北海道議会へのほくでん幹部の不誠実な説明態度などを目の当たりにして
原発の安全性への疑問を持つようになりました。
しかし脱原発が実現した代わりに膨大な化石燃料を消費しているいま、原発事故の
不安は確かに回避できているのですが、その代わりに原油・石炭・ガス輸入が急増
して、巨額な貿易赤字が我が国の経済に大きな打撃を与えています。
震災から2年たった現在、もし電力会社が福島の教訓を真剣に受け止めて安全対策
を万全に構築しているならば、原発再稼働を考えても良いのではないかと私は最近
考え始めています。
札幌市議会でも先日、脱原発が地球温暖化を加速している問題や原発再稼働の
可能性について上田市長と議論をしたばかりです。
さて福島第一原発の事故の原因を私なりに解釈すると下記の3点だと思います。
(1)外部電源が失われ原発を制御不能になったこと
(2)冷却水が失われ炉心が高温で溶けてしまった
(3)東電が想定外事故の対応能力をもっていなかったこと
昨日の視察では、まず(1)の外部電源については対応が完了していました。
下記写真のような大型電力車が高台に複数配置され、万一の津波の際にもしっかり
電源は確保できる仕組みになっていました。


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(ほくでんからカメラ撮影を禁止されたため、写真はほくでん広報誌より拝借しました)
そして(2)の冷却水についても、対策が進んでいます。
給水機能の停止に備えて、地下タンクや海中から水を取水して原発に送りこむ
下記写真のようなポンプ車を配備するほか、今後は高台に水がめを設置して、
万一電源がなくとも高低差を利用して冷却水を炉心に送る仕組みを作るそうです。


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しかし、(3)の想定外の事態への対応については「まだまだ不十分」との印象を
持ちました。
視察中にほくでん職員にさまざまな疑問を投げかけたところ、想定問答集か
マニュアルがあるようで、一定の決められたことには完璧に答えます。
しかし変化球を投げると、「分かりません」「答えられません」で答えられないことが
予想外に多かったのです。
たとえば、これから建設する予定の津波対策の防潮堤について尋ねると、
 問:「防潮堤建設の工費はいくらですか?」       
 答:「お答えできません」
 問:「防潮堤の高さは16.5メートルで本当に大丈夫ですか」
 答:「福島の津波は最大15メートルでした。さらに余裕を持たせています」
 問:「防潮堤を設置したら、港の荷下ろし機能が失われるのではありませんか?」
 答:「道路は急勾配になると思います」(?)
といった具合です。
数年前の3号機建設工事中には不審火が幾度も発生し、結局犯人は検挙できず
問題となったままウヤムヤです。
ここでは、万一のセキュリティ対策も質問してみました。
 問:「火器を持ったテロ組織への対策は大丈夫ですか?」
 答:「IDカードや指紋認証で不審者は侵入できない仕組みです」
 問:「内部の故意犯が破壊工作を行うケースは想定していますか?」
 答:「社員は使命感を持って働いており、そんな悪意を持った社員はいません」
などと答えはキッパリとしているのですが、まるで形通りの議会答弁のよう。
攻撃目的のテロ組織がIDカードを使ってルール通りに入ってくるとは考えません。
一方、原発の中央制御室では10人くらいのオペレーターが働いています。
いま原発が停止しているためか、立ったり座ったりと皆のんびりとした雰囲気で、
マグカップ片手にコーヒー飲みながら同僚と談笑しているなど、緊張感がまるで
ありません。
責任者に尋ねたら、
「長時間勤務なので中央制御室内での飲食は許可しています」
というのですが、原発運転監視業務の重要性を考えたら仕事中と休憩時間は
はっきり分けたほうが良いのではないかと思います。
また机の上には黄ばんだ書類など雑然と積んであって、整理整頓もいまひとつと
いう印象を外見からは受けました。
そして最大の問題点と感じたのは広報のあり方です。
今回の視察に当たって「写真撮影は厳禁、見学内容も口外無用」と念押しされました。
しかし実際には、空調完備でじゅうたん張りの見学者用ルートを案内係の女性の説明で
一緒に回っただけで、そこには大型モニターや説明パネル、模型や見学窓などがセット
してあり、秘密と思われるものはなにもありません。
こうやって無理に秘密主義を貫くよりは、むしろ多くの人に現実を知ってもらい、その上で
原発の必要性を理解してもらった方がよいのではないかと思います。
いくら「安全」と叫んでも百聞は一見にしかず、実際に見てもらうのが理解の早道です。
自分たちが見て欲しいところだけを案内したつもりでも、見る人が見れば「穴」は見えて
しまうものであり、もし都合の悪い「穴」があるならば、やみくもに「穴」を隠すよりは、
「穴」を埋めて安全性を高めるように努めるべきです。
構内には一日1500人が働いているそうですが、これだけの人の目・耳・口をふさぐ
ことは現実には不可能。都合の悪い秘密を隠し通すのは無理ではないでしょうか。
さて今回の視察では北海道電力のまじめな社風の一端に触れ、一定の安全対策に
きちんと取り組んでいることはよく分かりました。
しかし、過度な秘密主義についてはまだ改まっていないと感じます。
ここまで原発への国民の不信が高まっている以上、原発を再稼働させるためには
電力事業者自らが情報公開を徹底し、国民の信頼を得る努力をしてもらうほかに
運転再開への道はありません。
視察中にほくでん社員から、「国の決定に従う」「国の指針を待っている」としばしば
「国」という言葉が出てきたのが印象的だったのですが、これからはむしろ「道民」
「利用者」を念頭に置いた経営に徹してほしいと私は思いました。
参考リンク:
福島第一原子力発電所事故への対応(北海道電力ホームページ)