PTA共済会の闇に迫る(1)彼らはなにを隠しているのか?

PTA共済会の闇に迫る(2)北海道教育庁との奮戦記

前編では北海道教育庁と戦うことになった経緯を記しました。
本編では公開決定で開示された資料をすべて掲載します。

できたばかりのPTA共済会社に職員が12名も

まず事業計画書の数字です。
下記の表の中で黄色のマーカーを塗ったところが、もともと非公開(墨塗り)になっていた部分です。

黄色部は公開された部分

黄色部は公開された部分

PTA共済会社の職員数は12名。
設立されたばかりの共済に12名もの職員がいるそうです。
しかも出向が10名。
それぞれの学校現場では先生も保護者もみなボランティアでやっているのに、PTA上層部では共済を職員の就職先にしようと考えているのです。
あとで調べた所、PTA共済は学校長退職者などの教委OBの再就職先であることが分かりました。
教育委員会が墨を塗って隠したい理由がわかります。

収入と支出の内訳がわかった

【資金計画】の欄から、隠していた収入・支出の明細も分かりました。
設立準備金は3千万円で、「札幌市PTA協議会基金会計から繰入」と書いてあります。
これは各学校のPTA(単位PTA)が少しずつ納めた上納金です。
協議会内部に積み立ててきたおカネを新しく設立するPTA共済会社の出資金にするのです。
札幌市PTA協議会の積立金は単位PTAの財産ですが、こうして設立したPTA共済会社にまとめて財産を移行することで、見事に資産をPTA共済に動かしています。
意味がお分かりでしょうか?
ボランティアのPTA会費の剰余金をPTA共済の出資金にこっそり振り替えているのです。
PTA共済会社はあくまで独立した一般社団法人で、保護者の権利や監視は一切及ばない組織です。
保護者の積立金を合法的にPTA幹部の財産に移行させる手法(マネーローンダリング)が浮き彫りになりました。
この部分に墨を塗って隠したい理由がわかります。
(参考:一般社団法人とは公益性がない法人税課税会社を指す。公益社団法人とは別で、普通の会社法人です)

保険会社のボロ儲けもわかった

PTA共済を設立する平成22年までは、「安全補償制度」として大手保険会社に委託していました。
平成18年度から22年度までの「安全補償制度」の保険料と保険金の支払い実績も公開されました。
毎年の事故件数や保険金支払い金額が克明に記されています。

保険会社委託時代の保険金支給実績

保険会社委託時代の保険金支給実績

一番上の行にご注目ください。
平成18年度に保護者から集めた保険料(加入金合計)は約77百万円。
この年度に子供たちの事故に払った保険金(支払金合計)は約24百万円。
差し引くと43百万円は保険会社の利益です。
実際に掛った経費(支払金)の約2倍とずいぶん儲けています。
その次の段の平成19年度の利益は同じように計算すると約57百万円。
平成20年度の利益は約55百万円。
平成21年度の利益は約60百万円。
平成22年度の利益は約59百万円。

こうしてみると5年間の保険金支給額の平均は一年あたり25百万円
利益の平均は55百万円
PTAが保険会社に委託した時代はずいぶん割高な保険料だったことが分かります。
本来だったら保護者が支払うべき保険料はもっと低くてもまかなえたはずだったのです。
これに気づいたPTA幹部が自前の共済会社設立を思いついたのでしょう。

PTA共済ボロ儲けの仕組みもわかった

PTA共済の掛け金の仕組みも公開されました。
共済掛金の計算式は大雑把に説明すると

純掛金(A)+付加掛金(B)=掛金

と2つの要素で構成されています。
純掛金(A)は保険金給付に支出な保険料を利益を考えずに単純に算数で計算したもの。
付加掛金(B)は人件費や会社の利益の部分です。
純掛金(A)と付加掛金(B)を足した600円が保護者一人が負担する共済掛金です。

まず純掛金(A)の計算はこちらです。

純掛金の計算方法を示している

純掛金の計算方法を示している

上の方で出てきた過去5年間の保険金支払い実績を元に事故率を計算しています。
こちらの数字にはウソ・偽りはなさそうです。

問題は付加掛金(B)のほう。

付加掛金の内訳を示す資料

付加掛金の内訳を示す資料

「安全教育推進活動」の予算170万円(年額)や、管理運営費614万が計上されています。
「安全教育推進活動」はPTA活動に使う予算でしょう。
また管理運営費として事務所家賃は市の建物に入居して格安とはいえ、パソコンや印刷代など事務経費がかかるのは分かります。
これらは良いのですが、問題は次です。

人件費に2460万円も

人件費の予算に2460万円も

PTA共済の職員人件費として職員費2110万円と法定福利費350万円の合わせて2460万円を計上しています。
これは一年間の事故に対して支払う実際の保険金額に相当する数字です。
いくらなんでも職員の人件費が多すぎではないでしょうか。

内部留保を削って保護者の負担を減らせ

さらに問題があります。

準備金名目で1600万円も計上

準備金名目で1600万円も計上

予備費に600万円、基金積立金に1000万円。
合計して準備金に1600万円の予算を組んでいます。
これは子供たちの事故を補償するためではなく、PTAの共済の財産を積み増すための予算です。
会計学的には会社の自己資本に当たる部分、いわゆる会社の「内部留保」です。
会社が儲かると、こうやって内部留保をどんどん貯めこんでいきます。
よく共産党が「大企業の内部留保を削って賃上げに回せ」と主張していますが、同じように
PTA共済の内部留保を削って保護者の負担を減らせ」と私は主張します。

さらにこれでも足りないのか・・・。

余剰金は責任準備金として3億円まで積み立てる

余剰金は責任準備金として3億円まで積み立てる

さらに準備金として、毎年の利益から3億円まで積み立てることを決めています。
「責任準備金(異常危険準備金)として、毎年の掛金の1000分の50位上(5%以上)を積み立てる」
と定めています。
保険金給付額は毎年2千万円台に過ぎないのに、これは内部留保が多すぎではないでしょうか。

PTA共済の保険料は高すぎる

これまで見てきたように、PTA共済は自分の会社の財産を増やすために、実際の保険事故の支払い見込みよりもずっと高い保険料を設定していることが分かります。
この秘密がバレるのを防ぐために北海道教育庁は資料の公開を拒んでスミで塗って隠したのでしょう。
国民主権、情報公開のいまの時代の流れに真っ向から反する不公正なやり方です。
PTA共済は全員加入で競争原理が働かないため、こうして高すぎる保険料を設定することができるのです。
保険料を負担するのは保護者であることを考えれば、少しでも安い保険料になるようやり方を改めるべきです。

PTA共済会社は情報公開を急げ

これまで細かくご紹介してきた資料はPTA共済会社がお役所の認可を受けるために提出したものです。
北海道教育庁が墨を塗って隠してきた資料を行政不服審査法の制度を用いて私が公開させました。
お役所は情報公開法に基づき、必要な資料を国民に公開することが定められています。
PTA共済会社の仕組みは、もともと国民に公開されるべき資料だったのです。
それをご都合主義的に適当に隠してきたことにお役所のズルさがあります。

繰り返し申し上げている通り、PTA共済の出資金の出元はPTA連合会の積立金です。
もともと単位PTA(学校PTA)がコツコツ積み立てたお金で設立した会社なのです。
本来はPTA連合会がPTA会員に自主的に公開すべき資料だったのではないでしょうか。
それがPTA会員にまったく公開しないばかりか、北海道教育庁まで隠蔽に加担するとは情けない事態です。

・共済会社の人件費2460万円が安いのか、高いのか?
・準備金3億円が多いのか、少ないのか?

様々な意見はあると思います。
しかしその前に、PTA共済会社はまずこれらの数字を自発的にPTA会員に公開すべきです。
そのうえでPTA会員の総意を得たうえで共済制度を運営するのが本来の民主的なやり方だと思います。

行政はPTA共済に適切な指導を行え

共済を所管する北海道教育庁や、PTAを所管する札幌市教育委員会が問題発覚を恐れたのか、都合の悪い情報を隠したのも大きな問題でした。
一般市民に対してでなく、有権者の代表に対して堂々と隠蔽工作を行ったことに問題の根の深さがあります。
北海道教育庁や札幌市教育委員会はPTA幹部や教員OBの利益ではなく、保護者や子供たちの利益を守っていただきたいと思います。
その立場から今後、行政がPTA共済の閉鎖的な運営に適切な指導を行うことを期待するものです。

全文ダウンロード

PTA共済会、道教委の公開決定書(PDFファイル、1.2MB)